〜65歳からの挑戦(5)〜  2012.11.24


「 洋服 」―2012.4.5―


親友がイタリアンレストランで「壮行会」と称して、ランチをご馳走して下さる。
久しぶりの2人の会話は何か懐かしい気持ちにしてくれ、こうして長年の夢だったイギリスへ行くことができる幸せを本当に自分のこととして喜んでくれる。

彼女は、2年前イスラエルに巡礼の旅をしてきた。
その時も2人で会食したが、その時私の着ていた洋服を気に入り「それを持って行きたい」といわれた。
物欲のない彼女が、人に頼むことは珍しい。
喜んで急いで脱いだまま、その夜に渡し、彼女はその洋服と一緒にイスラエルに旅立って行った。

今回その洋服を戻しながら「とても役だったから、これを持って行って」と言う。
「わかりました。」必ずこの洋服と一緒に帰ってくるからね。

つづく・・・

帰国後しばらくして、突然彼女に難病が見つかりました。
静かに現実を受け入れている彼女を見ていると イスラエルに旅立つ前に、 「死んでもしたくない事はしない。死んでもしたいことはする・・・」 と言って笑った姿を思い出します。
その見事な、いさぎよい姿は美しすぎます。

                     淳子記



便風とは
「びんぷう」と読みます。
意味は、「(1)追い風。順風。(2)便り。手紙。音信」を表します。
大辞林(国語辞典)