〜65歳からの挑戦(1)〜  2012.11.18

数か月間留守をしてイギリスに遊学しておりました。しばらく紀行文を連載致しますので、読んで頂けたら嬉しいです。



いつか、イギリスへ留学したいと思いつつ、結婚して子育てに追われ、仕事、親のこと いろいろなことに追われて実現は不可能になりつつあった。

昨年東日本大震災があり、明日の命もわからないことを実感し、 「今しかない。悔いのないように生きたい」と急に思い立ち、旅行会社に電話したのは、3.11の震災後半年が経っていた。
二か所の留学斡旋会社に電話して、九州の会社に決め、新幹線で博多の駅に下り立った。
地図を見ながら会社を探す…うろうろしながらイギリスでもこうして歩くのかと、遠くて近いイギリスに思いをはせた。
やっと見つかった会社の担当の男性は声で想像するよりずっと若かった。 丁寧な説明の中にも、この年で一人で旅する私を気遣う温度があった。

一人旅をする私は無謀と思われているに違いない…そういえば、この話をすると友人、知人から「勇気があるねー」とよく言われた。 その度に「ううん、私がやりたいことだから・・・。」と言いながら、 皆のあきれたように感心する顔が意外だった。

その中で、中学からの友人で、デザイナーとして何度も海外出張に一人旅していた人から、「自分が海外に行く時はいつも不安だったけど、 あなたが一人で行くのは全然不安じゃないわ…」と言われ、二人で大笑いしたがその言葉は力強く、嬉しかった。

大きなカバンに、少しずつ洋服や食料品を入れ始めた。荷物は最小限度にしたいので食糧品もなるべく持たずに行きたい。ティーパーティー用に日本茶と小さな湯呑を入れる。
イギリスで出会った人達と、日本のお茶会が出来るかもしれない。

日本よりかなり寒いと聞き、フード付きのコートが欲しいと色々捜すが、丁度良いのが無いと、あちこち見ていた頃、先輩のお宅に行く用事が出来た。
彼女からイギリス滞在にぴったりの品々をいただくことになり、 あっという間に必要な物が揃った。
以前は山登りをしていて力には自信があったが、今はこの大きなトランクを持ってイギリスで駅の階段の上り下りが一番の心配になった。
これから少しずつ少しずつ身体を鍛えよう。


                     淳子記





便風とは
「びんぷう」と読みます。
意味は、「(1)追い風。順風。(2)便り。手紙。音信」を表します。
大辞林(国語辞典)