「おばあちゃんのおひな様」~   2008.2.4
しばらくぶりにおばあちゃんのおひな様を出してみました。
昭和の初め、おばあちゃんが生まれた時に、おばあちゃんの両親が京都で作ってもらったおひな様です。
御殿も、お人形も、たんすも、ぼんぼりも、年月を経てあちらこちらくたびれてはいるけれど、凛とした雰囲気はいっそう味わい深くなっているようです。

今こうしておひな様と向かい合っていると、静かな想いが伝わってきます。
おばあちゃんのお父さんはこんなことを想っていたのかしら。
「和子ははじめての女の子だったから、ほんとうに嬉しくて嬉しくて、立派なおひな様をこしらえてもらったんよ」

原爆で18才の時に両親を亡くしたおばあちゃん。
おひな様は疎開させていたので無事でした。
古くなった木箱を開けるたび、どんなことを想っていたのでしょう。

そのおばあちゃんも、おととし両親のところへ旅立ちました。

私はおひな様を飾りながら、おばあちゃん、おばあちゃんに連なる人達の声を聞きました。

「あなたのことを、ずっとずっと、愛しているからね。佳い人生を送りんさいね。」

「ありがとう。そしてこれからもよろしくね。」私はそう答えました。
立春のそよ風に新しい気持ちを促されながら。


2月4日 おばあちゃんの誕生日に寄せて

安紀子記



*以上の文章を寄せてくれた「爽風の看板娘」が嫁いでいきます。長年貢献してくれました。
ほっとした反面寂しい気持ちで見送る親の気分です。
皆様にもご報告です。

淳子記


便風とは
「びんぷう」と読みます。
意味は、「(1)追い風。順風。(2)便り。手紙。音信」を表します。
大辞林(国語辞典)