〜お茶の歴史 パ−トU〜  2005.1.14

お茶の歴史の続きです。

今からおよそ1200年前、唐の時代になって『茶経』という書物が書かれました。陸羽が著したこの『茶経』は今日でも茶のバイブル的な存在であり常に「新しい古典」としての評価を受けています。
陸羽がこの著述をしたのは、28歳の時頃といわれていますが、7000余文字で綴る簡素な表現の中に当時の茶に関する情報を総合的に取りまとめた、いわば「茶の百科全書』とも言うべきものです。
この書物が世に出てから、喫茶の風習はにわかにブ−ムをおこし、中国の国内に普及しました。それはやがて日本に渡り、近世にはこの不思議な東洋の飲み物は世界的規模にまで広がりました。

『茶経』の経という字は元来、織物の堅糸を指し、基本の常道、つまり綱要という意味です。中国では普通、賢人の書を「伝」といい聖人の書を「経」と称することから、これが当時から有名で愛読され大切にされていた書物であったことがわかります。
その超人的内容から、中国では陸羽は「茶神」と呼ばれ、今でも尊敬されています。
日本に「茶経)が入ってきたのは、陸羽没後間もない平安時代初期のことでした。

つづく・・・

淳子記

*今回は静岡にお住まいの時田氏著の『茶商の読んだ「茶経評釈」』を参考にさせていただきました。



便風とは
「びんぷう」と読みます。
意味は、「(1)追い風。順風。(2)便り。手紙。音信」を表します。
大辞林(国語辞典)