〜心に残る味〜  2003.11.2
秋も深まり温かいお茶の美味しい候です。
私事ですが爽風のオ−プン時から手伝ってくれていた女性が昨年オ−ストラリア人と結婚して一年半ぶりに里帰りしました。
長い間待ちに待った日本は彼女の目にどう映ったのでしょう。
穏やかな風土の中で少し大人になって落ち着いた女性へと変わりつつある彼女は『お茶が美味しい』と言います。
あちらでも淹れていたけれど違うのはどうしてだろうとしきりに不思議がります。
同じお茶でも空気と水で違うのでしょう。

ところで毎週金曜日になると閉店間際に『まだいいですか』と申し訳なさそうに来てくださる3歳ぐらいの双子の男の子と女の子とそのお母さんがいます。

『一週間頑張ったご褒美にここのソフトクリ−ムを食べるのを楽しみにしているんですよ。』

とお母さんはおっしゃいます。私たちもその言葉を聞いてから金曜日の5時前が楽しみになりました。お母さんの頼まれた煎茶セットのお茶を2人の小さなお子さんが一緒に飲んでいる様子が嬉しくて胸が熱くなるときがあります。
今飲んでいるお茶の味はきっと大人になっても覚えていてくれるに違いありません。

世界中どこでも何歳でも心に残る味って毎日の生活中から作られているのだと感じます。
世界中にお茶を広めたいと、だいそれた望みで爽風を始めましたがなんだか嬉しい最近の出来事でした。

淳子記


便風とは
「びんぷう」と読みます。
意味は、「(1)追い風。順風。(2)便り。手紙。音信」を表します。
大辞林(国語辞典)